Kanzan Curatorial Exchange 「尺度の詩学」vol.2
長田雛子「ねむけ前」
2018年 10月20日(土)- 11月11日(日)
12:00-19:30/日曜17:00まで/月曜定休/入場無料
TALKEVENT + RECEPTION : 11月2日(金)18:30- (予約不要, 入場無料)
小林耕平(美術家)× 長田雛子
進行:和田信太郎
RECEPTION : トーク終了後より
シンポジウム「生活会議」 : 10月27日(土) 17:00-19:00 (予約不要, 入場無料)
登壇者:長田雛子、小宮麻吏奈、佐藤朋子、関真奈美
進行:青柳菜摘
「ねむけ前」展の関連イベントとしてシンポジウム「生活会議」を開催いたします。表現活動のなかで「生活」と「制作」にはどういった関係があるのか、それともあまり関係がないのか。不断に継起する生活が、表現する意志や制作物に影響しているとすれば、その環境をどう作っているのか。同世代の女性アーティストたちが集まって、各自の活動を紹介しながら議論を深めていきます。
企画:和田信太郎
施工+広報:コ本や honkbooks
協力:高見澤峻介, 山形一生, UCNV
ねむけ前
私たちが普段「ねむけ」と呼んでいる、頭の中にかかったモヤのようなもの。
その正体を知るために、私は目を閉じた。
頭の中にしっかりと、ベールのようなものがかかっている感覚がある。
それは一体何なのか…考える間もなく私は意識失った。
…結局今日もその正体をつかむことはできなかった。
ただいつの間にかベールをくぐり抜けて、別の場所にたどり着いたことは確かだった。
眠る直前、思考は誤作動を起こす。これまでの記憶の様々が自分の中の、自分ではない何かに、よく分からないままに編集され、謎のヴィジョンを次々に見せてくる。そのようなものを横目に、何食わぬ顔で生活を続けている。しかし謎のヴィジョンは時として現実を侵食し、生活する私の目の端をサッとよぎる。それが確かに存在したことを証明したくて、風景が別の光景を見せてくれる瞬間を探している。
(アーティスト・ステートメント)
「尺度の詩学」
都市や社会を通じて問題意識を見つけ、それを作品化する表現行為が少なくないなかで、あらためて尺度(スケール)という観点から思考論理や表現手法を意識的に問い直してみる。そのことによって物事の肌理を際立たせることができるのではないだろうか。表現を投げかけるときに、意図的に尺度を割り当ててみるだけで、伝わり方も(その残余も)別様のものになり変わる。尺度の切り替えによって、現象は複雑にも単純にもなるゆえに、問題意識を見出すそのアサムプション(前提)から再考してみようと本シリーズを企画しました。
リサーチ手法として年表をつくり「平成」「地下鉄サリン事件」について写真をメディウムとして再考する土屋紳一。見ていることの事実や実在している確かさを問い直そうと独自の手法を開発する美術家の長田雛子。彫刻教育から東アジアの歴史に迫り「不在の彫刻史」を体現化しようとする彫刻家の黒田大祐。「尺度の詩学」という企画シリーズのもとで、3名の作家が個展形式によって映像メディアで用いる新作を発表します。
長田 雛子 / Osada Hinako(美術家)
1991年 秋田県出身。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。「イメージ」というものをどのように形作るかを考え、独自の編集・構成の仕方で制作を行う。寝起きに夢で見た内容をビデオカメラに向かって語る映像や、作家自身のエピソードや記憶を起点に、そこで起こる出来事を外部に拡張し発展させるようなインスタレーションなど。主な展示に「YOTSUYA BEDROOM」(2016/The Artcomplex Center of Tokyo)、「無・ねじらない」(2017/コ本や)、「シブカル祭。2017」(2017/GALLERY X BY PARCO)、「MEDIA PRACTICE17-18」(2018/BankART StudioNYK)、「エアーシャワーアワー」(2018/横浜市民ギャラリー)。
小林 耕平 / Kobayashi Kohei(美術家)
1974年生まれ、埼玉県在住。「六本木クロッシング 2007 ─ 未来への脈動」(2007、森美術館)、「ヴィデオを待ちながら 映像 ─ 60 年代から今日へ」(2009、東京国立近代美術館、東京)、「ユーモアと飛躍 ─ そこにふれる」(2013、岡崎市美術博物館、愛知)、アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋—日本と韓国の作家たち(2015 国立新美術館_東京、国立現代美術館 果川館_韓国)、「あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ」(2016豊橋会場、愛知)、「瀬戸内国際芸術祭2016」(2016 伊吹島、香川)、「小林耕平×高橋耕平 切断してみる。─二人の耕平」(2017豊田市美術館、愛知)、小林耕平×高橋耕平「遠隔同化─二人の耕平」(2017京都アートホステル クマグスク、京都)、個展「あくび・指南」(2018山本現代、東京)
小宮 麻吏奈 / Komiya Marina(アーティスト)
1992年アトランタ生まれ、7歳より日本在住。「人類における新しい生殖の可能性」を自身の身体を起点とした複数のメディアを通して模索している。これまでの主なプロジェクトに、「小宮花店」という花屋の経営や「野方の空白」というスペースの運営など。現在は都内の更地にて家のない「庭」を作り始める。
https://www.marinalisakomiya.com
佐藤 朋子 / Sato Tomoko(アーティスト)
1990年長野県生まれ、横浜在住。2018年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。現代の語りの実践として、映像メディアを用いたパフォーマンスを主に制作。2018年、狐の伝説のリサーチをベースに、岡倉覚三(天心)の戯曲"The White Fox"を語り直すレクチャーパフォーマンス『隠された歌』を発表。
関 真奈美 / Seki Manami (美術作家)
言語とイメージ、物理空間と多次元に代理表象された空間を往来する手続きをふむ。またプログラムやシステムを人間の言語レベルで応用したパフォーマンス作品などを制作。主な展覧会・イベントに「乗り物」(blanClass・横浜)、「(real) time と study tables」(space dike・東京)、「PJB」(BankART1929・横浜)、 「記録係 vol.新しい洞窟」 (コ本や・ 東京)などがある。
青柳 菜摘 / Aoyagi Natsumi (アーティスト)
1990年東京都生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、記録メディアや固有の媒体に捉われずにいかに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観者がその不可能性に気づくことを主題として取り組んでいる。2014年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。近年の活動に「冨士日記」(NADiff Gallery, 2016)、「孵化日記 2011,2014-2016」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2016)、「孵化日記 2014-2015」(第10回 恵比寿映像祭, 2018)など。また書籍に『孵化日記2011年5月』(thoasa publishing, 2016)、小説『黒い土の時間』(2017)がある。「だつお」というアーティスト名でも活動。
和田信太郎 / Wada Shintaro (メディア・ディレクター)
1984年宮城県生まれ。表現行為としてのドキュメンテーションの在り方をめぐって、映像のみならず展覧会企画や書籍制作を手がける。最近の主な仕事として、「磯崎新 12×5=60」ドキュメント撮影(ワタリウム美術館, 2014)、「藤木淳 PrimitiveOrder」企画構成(第8回恵比寿映像祭, 2016)、展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画(Kanzan Gallery, 2017-18)、「ワーグナー・プロジェクト」メディア・ディレクター(神奈川芸術劇場KAAT, 2017)。2012年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。現在、東京藝術大学大学院映像研究科特任講師、株式会社thoasa(コ本や honkbooks・企画・映像制作・書籍出版)ディレクター。
コ本やhonkbooks
2016年より活動するメディア・プロダクション。映像や書籍の制作、展覧会やプロジェクトを企画し、自ら運営する本屋(東京都北区王子)を拠点に展開している。青柳菜摘/だつお(アーティスト、1990年生まれ)、清水玄(ブック・ディレクター、1984年生まれ)、和田信太郎(ドキュメント・ディレクター、1984年生まれ)主宰。3人ともに東京藝術大学大学院映像研究科出身。最近の活動に展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画(Kanzan gallery、2017)、「ワーグナー・プロジェクト」メディア・ディレクション(神奈川芸術劇場KAAT、2017)、「新しい洞窟-もうひとつの岐阜おおがきビエンナーレ2017」ディレクション(2017)など。別名thoasa。
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