前川朋子
宮脇慎太郎
#on view / Kanzan gallery
前川朋子・宮脇慎太郎写真展「双眸 —四国より—」
2022年10月28日[金]- 11月13日[日]
[火曜-土曜]12:00-19:30
[日曜]12:00-17:00
月曜定休/入場無料
[EVENT] GALLERY TALK|10月28日[金]
前川朋子 × 宮脇慎太郎
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[概要]
東京・馬喰町「kanzan gallery」では、前川朋子・宮脇慎太郎写真展「双眸 —四国より—」を開催します。本展は、大阪・服部天神「gallery 176 」で今年5月に開催された二人展をkanzan galleryの空間に合わせ、展示構成再考した巡回展です。以下、gallery 176で開催された際の「 双眸 —四国より—」を企画した写真家・木村孝さんの言葉を掲載します。
〈 前川さんとは、写真家の石川直樹さんが講師を務めるフォトアーキペラゴ写真学校を通じて知り合いました。結婚を機に四国へと移り住み、自身の家族や身近な風景の撮影を続けています。宮脇さんとは、四国で生まれ育ち、東京で写真を学び、そして郷里へ戻って活動を行っているなど共通点が多く、必然的ともいえるように写真のこと、地方での活動についてなどを話すようになりました。
前川さんの、日常や家族を通じて自身とその世界を再発見するかのような視線。宮脇さんの、自身がいる場所への発見と礼賛の姿勢。
四国での日々が、東京や都市に対するアンチテーゼとしてではなく「いま、ここ」の瞬間の堆積、「わたし」たちの価値観として存在していることを再認識させてくれます。- gallery 176 木村孝 -〉
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第5回 #on view / Kanzan gallery
「双眸 —四国より—」二人展巡回によせて
「母さん、今度はいつこっちに来るの?」
KからLINE。
Kを中心に身の周りの風景を撮り始め、14歳だった彼女は20歳になった。
今は進学のため新しい町で暮らしている。
私はというと相変わらず、撮るものがなくても撮るを試みる日々だ。
友達から「楽しい?」と聞かれても素直に「うん」と答えることはできない。
でもよろこびはある。それは確かだ。
未知の出来事が起こると情報をかき集め、頭だけが肥大し、いつしか自分の思考を停止させてしまう。
私は群衆になりやすい。
そもそも結婚を機に生まれ育った関東を離れ、徳島で暮らし始めた頃から「子育て」の期間もそれに近いものがあった。
その当時も家族の写真を撮っていたのは主に私だったが、写真と出会った時期とそれ以前を明確に分けて意識しているのはなぜかと自分で不思議に思う。
日々は新しく美しい。
これはゴールデン•マクドナルド作『ちいさな島』という絵本が教えてくれたことだ。
平穏であるということは祈りに似ている。
「日常」とは何も起こらない日々のことを言い表す言葉なのだろうか。
では、何も起こらないとは。
自分に災禍の火の粉が降ってこなければ「ふつうの日常」なのだろうか。
今日も、見えないものに向かって問いかけている。
前川朋子
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私はいま暗いところにいて
どこからか光のさすのを待っている
私はいま未知数だから
明日という日を待っている
人に
待つという希望を与えた大いなるものよ
———塔和子『待つ』より引用
瀬戸内海の孤島にある、ハンセン病の隔離療養施設で没した詩人の蔵書。それを故郷に届けるという不思議な旅をしたのはもう6年前のこと。そこは四国の西の果て、宇和海。高松を出発した時の鼠色の空は一気に晴れ渡り、冬景色は菜の花の咲き乱れる春の風景へ。当時秘境と呼ばれた祖谷の写真集を作成するため、ひたすら四国の山に通っていた自分にとって、その最果ては全てが光の中にあるようだった。
宮脇慎太郎
この度、 on view / Kanzan gallery第5回目の企画として、今年5月に大阪gallery176で開催した二人展『双眸-四国から-』を巡回する運びとなりました。
この展示のタイトル『双眸』は「四国という地方」「価値観」そして「関係性」をキーワードに、gallery176所属の展示企画・写真家木村孝さんを中心に宮脇さんと私の3人がオンラインでやり取りをする中で生まれたものです。
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プロフィール
前川 朋子(まえかわ ともこ)
東京生まれ。徳島在住。
2015年 香川県で開催されているフォトアーキペラゴ写真学校に参加し写真を始める。
受賞
2016年 第3回WORKSHOPフォトネシア沖縄写真学校ポートフォ リオレビュー最優秀賞
2017年 SETO PHOTO 2017 ポートフォリオレビューグランプリ
2018年 塩竈フォトフェスティバル2018 特別賞
2019年 富士フイルム株式会社「平成・東京・スナップLOVE」 関連企画ポートフォリオレビュー 大阪/ファイナリスト
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宮脇 慎太郎(みやわき しんたろう)
1981年香川県高松市生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。
https://www.shintaromiyawaki.com
個展
「霧の子供たち」灸まん美術館(香川)、title(東京、2019)、BOOKS f3 (新潟、2020)
「曙光 – The Light of Iya Valley」BOOK MARUTE(香川、2016)、uta no tane(徳島、2016)、READAN DEAT(広島、2016)、ふげん社(東京、2016)、緑光+MARÜTE(台湾・台中、2017)
出版
「曙光 The Light of Iya Valley」サウダージブックス、2015
「UWAKAI」サウダージブックス、2022
受賞
2020年 香川県文化芸術新人賞
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#on view / Kanzan galleryは、写真と映像に携わる若手アーティストを「展示」という形で支援してきたKanzan galleryの新しいプログラムです。写真集の発行記念展や巡回展、または展示の実験の場として、写真家が主導する展示企画をサポートします。当展、前川朋子・宮脇慎太郎写真展「双眸 —四国より—」は、第5回目となります。
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