Kanzan Curatorial Exchange 「残存のインタラクション」vol.2

原田裕規「心霊写真/ニュージャージー」

■展覧会データ

会場:Kanzan Gallery(東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F)

会期:2018年 3月9日(金)- 4月8日(日)

時間:12:00-19:30(日曜 -17:00)

定休:月曜 入場無料 来場者数:660人

企画:和田信太郎|施工:清水玄|広報:玉木晶子|協力:コ本や honkbooks

 

■関連イベント

2018年3月23日(金)-4月15日(日) 原田裕規「回顧展」(@コ本や)*同時開催展 詳細

2018年3月24日(土)16:00-17:30 田坂博子(東京都写真美術館学芸員)☓原田裕規 Togetterまとめ

2018年3月31日(土)19:00-20:30 中尾拓哉(美術評論家)☓原田裕規 Togetterまとめ

2018年4月7日(土)16:00-17:30 三輪健仁(東京国立近代美術館主任研究員)☓原田裕規 Togetterまとめ

 

■概要

原田裕規の個展「心霊写真/ニュージャージー」を開催します。

本展は、原田が2012 年に行った「心霊写真」展(榮龍太朗との共同企画)、2017 年に行った「作者不詳」展に続く「写真シリーズ」の総集編に位置付けられます。展覧会場では、それぞれ異なるタイムラインに属する2 つの展示が並走するように、全体は「心霊写真編」と「ニュージャージー編」で構成され、イメージの周りを囲い込む2つの時間を往来するような体験が得られるでしょう。

 

「心霊写真編」では、原田が様々な場所で「発見 found」した心霊写真が、その手法自体を「ひけらかす」ように展示されます。

「ニュージャージー編」では、原田がニュージャージーに赴いて撮影した写真を「自ら発見したもの found-photo」と思い込み、撮影者の気持ちを想像して書いた「通信」を添えることによって「架空の作者」を立ち上げることが試みられます。

 

このような方法で展示が行われるのはなぜでしょうか?

原田はこの展覧会を実現するにあたり、ニュージャージーで滞在制作し、日本国内でおよそ1年間にわたり古物商や産廃業者とともに写真を収集してまわりました。その結果、数千枚の写真を手にした原田が直面したことは、キャプションが付随しない写真を見ることの困難さでした。誰が・何を・なぜ撮ったのかもわからない膨大なイメージに囲まれたとき、そこには強迫観念に近い不安感が生み出されたのです。

 

しかし、かたやそこに「記念写真」「芸術写真」「心霊写真」などといった認識のフレーム(frame|枠|額縁)が与えられた途端に、その困難が忘却されてしまうことにも気が付きました。そこで、自ら撮影した写真に向けられた眼差しを囲い込む「愛着」についてさえも疑いの目を向けるようになり、しかしその愛着をぎりぎり捨てきることもできない状態に「宙吊り」になることを選択し、これら2つの時間が並走するような展覧会が実現しました。

 

本展の開催にあわせて、作家にとっては初となる「写真集作品」(ed.30)も会場で発表・予約販売されます。

みなさまぜひ、原田の新しい展開をご高覧ください。

 

「残存のインタラクション」

写真や映像といった記録メディアにおける残存とはなにか。イメージ特有の振れ幅が語りを誘発し、語りを困難にもする。「残存とは時間感覚の喪失をもたらす症状にほかならない」(ジョルジュ・ディディ=ユベルマン)。 映画におけるドキュメンタリーの手法を問い直す映像作家(飯岡幸子)、芸術作品や作家性に議論喚起を企てる美術家(原田裕規)、土地や場所が与する相互作用を表出させるアーティスト(シェレンバウム・ゾエ)の全3回の展覧会 (個展)を通して、記録や表現の行為に迫っていきその意味を問い直す。

 

原田裕規 Yuki Harada

1989 年、山口県生まれ、千葉県在住。美術家。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。

社会の中で取るに足らないとされている「にもかかわらず」広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の問題を提起する作品で知られる。作品の形態は絵画、写真、インスタレーションなどに加えて、キュレーション、テキストライティング、書籍製作など幅広い。代表的なプロジェクトに「ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。主な著作に『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社、2013 年)など。

 

コ本やhonkbooks こほんや

2016年より活動するメディア・プロダクション。映像や書籍の制作、展覧会やプロジェクトを企画し、自ら運営する本屋(東京都北区王子)を拠点に展開している。青柳菜摘/だつお(アーティスト、1990年生まれ)、清水玄(ブック・ディレクター、1984年生まれ)、和田信太郎(ドキュメント・ディレクター、1984年生まれ)主宰。3人ともに東京藝術大学大学院映像研究科出身。最近の活動に展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画(Kanzan gallery、2017)、「ワーグナー・プロジェクト」メディア・ディレクション(神奈川芸術劇場KAAT、2017)、「新しい洞窟-もうひとつの岐阜おおがきビエンナーレ2017」ディレクション(2017)など。別名thoasa。

■インスタレーション・ビュー

■レビュー

>>長谷川新 「写真について考える」の3展覧会(P.191)クイックジャパン vol.137、太田出版

■会場配布物

一般財団法人日本写真アート協会  Kanzan gallery       東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F

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