© Shuji Yamada

kanzan gallery 特別展示

新版『日本村』1960-2020 写真プリントと印刷

山田 修二

キュレーター:菊田樹子

協力:株式会社サンエムカラー

主催:Kanzan gallery

 

2020年1211[金-27[日]→2021年1月24日[日]

*会期が延長となりました。

*2020年12月28日[月]- 2021年1月4日[月]の間、冬季休廊とさせていただきます。

*2021年1月8日より、新型コロナウィルスの感染拡大防止対策として、閉廊時間を18:30に変更いたします。今後の状況により会期、営業時間等の変更の可能性がございます。最新情報は各種SNS、ホームページよりご案内いたします。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

 

[火曜-土曜]12:00-19:30 18:30

[日曜]12:00-17:00

月曜定休/入場無料

*会場にて、新版『日本村』1960-2020『山田脩二の写真・軌跡(1963-64年 シリーズより)焼き物の街・常滑』を販売しております。

 

 Kanzan galleryでは、1960年代から写真家として活躍し、82年に「職業写真家終止符宣言」をした後、淡路島で瓦の製造に携わってきた山田脩二(やまだ しゅうじ)の個展を開催します。

 

 1950年代後半に桑沢デザイン研究所で学んでいた山田は、大辻清司を通して写真と出会います。職業としてはグラフィック・デザイナーを目指しており、同校修了後、まずは印刷のプロセスを知るため凸版印刷に就職します。しかし独立すると、次々と舞い込んできたのはデザインの仕事ではなく、雑誌やカタログ用の写真の撮影だったと言います。この時期の山田は、東京で撮影をこなす一方、それ以外の時間は日本全国を気ままに巡る旅を繰り返しました。その眼と肌で会得した体験が写真家・山田脩二の屋台骨をつくりあげていきます。そして、60年代半ばから建築雑誌やグラフ誌に舞台を移した山田の写真は、次第に写真評論家や建築家、カメラ雑誌から注目を集め、発表の場がさらに広がっていきました。東京国立近代美術館での「現代日本15人の写真家展」(1974年)へ参加し、アサヒカメラの口絵を飾るなど、当時の写真界でその評価を高めながらも、山田は1983年末のミノルタフォトスペースでの個展を終えると「職業写真家終止符宣言」をし、淡路島に移転。20代の頃に立てた人生計画通りに瓦の製造に携わり、瓦師と名のり、分野をこえて活動を行っています。

 

 そして、このたび60年にわたる集大成となる最新写真集「新版 『日本村』1960-2020」(平凡社)を出版しました。当展では、山田脩二の手焼きプリント、ネガからのラムダプリント、写真集の印刷の過程で制作された色校正に加え、雑誌などの印刷物も展示します。また、この展示のために行ったインタビュー映像もご観覧いただけます。

 

「今年の春からスタートした『風景』をテーマにした連続展のために、70年前後の日本の風景や当時の言説をあらためて見直す中で、山田脩二という写真家の存在について考えざるを得ませんでした。奇しくも集大成となる新刊写真集『日本村1960-2020』を発行すると聞き、これを機に、山田脩二さんの作品を展示することで、山田さんの写真家としての凄み、そして、60年の歳月の中に浮かび上がる日本の風景や、「日本村」と名付けられた日本そのものにあらためて目を向けてみたいと思いました。

 

 山田さんは、バウハウスをモデルに発足して間もない桑沢デザイン研究所、高度成長期の只中に膨大な生産を行っていた印刷会社に身を置き、高層ビルをはじめ数多くの戦後の日本を象徴する建物の竣工に立ち会い、東京オリンピックや大阪万博、学生運動を体感し、そして、風景論・都市論が熱気を帯びる何年も前から日本全国津々浦々を旅して回っていたという稀有な方です。カメラと自らの身体を通して、これらを経験してきたことが、山田さんの写真からひしひしと伝わってきます。そこには、特別な事件も、都市と地方という安易な二項対立も、失われつつあるものを嘆くセンチメンタルな感情もありません。

 

 今回の展示は、山田さんからのアイディアで「写真プリントと印刷」というサブタイトルがついています。誰かが一本の指でシャッターを押すことでとらえられた一枚の写真が、輪転機から凄まじい勢いで排出され、そしてそれが何万、何十万人の眼に触れる現場を見てきた山田さんにとっての「写真」の概念を展示の中で感じていただけたらと思います。」                      (当展キュレーター 菊田樹子)

 

【kanzan gallery特別展示】

 当館では、12月の展示は、ギャラリーの方針である若手のアーティストサポートを

「写真を観ること、考えること」を通じて行ってきました。これまでに、「幻の響写真館 井出傳次郎」「Forgotten light of the private days Witold Romer - ヴィトルド・レーマー あの日々の、忘れられた光」「軽井沢時代 1947-1960 森澤勇」が開催されました。

 

 

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